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3.フィリピン人の本音
「何度もフィリピンへ行った事があるけれど、戦争の話は聞いたことがない」

 私は、この言葉を何度耳にしたことでしょう。戦時中、被害にあったフィリピンの方々との出会いをきっかけに、私がこのプロジェクトを始めたことを説明した時に聞こえてくる反応です。
 この言葉が象徴するように、フィリピンの方々はなかなか本音を言ってくださいません。2000年、私が学生の時に初めて訪ねたフィリピンで、戦時中に受けた心の傷をぶつけられたのは、それなりの理由がありました。フィリピンへのスタディー・ツアーを企画してくださっていた青山学院大学の雨宮剛先生(現名誉教授)が、20年近く現地との関係を築いてきてくださっていたこと。そして、私たち学生が率直な気持ちをつづった平和と和解のステートメントを用意して話を聞きにいったことです。
 その後も、「元日本兵のビデオメッセージ」という日本人の気持ちを現地の方々に伝えるからこそ、向き合ってもらえるということがあるのかもしれません。実際に、今回のツアーでも興味深いことがありました。

 フィリピン大学で上映会をさせて頂いた時のことです。
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上映が始まる前は、「歴史はもう昔のことだから、フィリピン人は気にしてないよ」と笑顔でにこやかに接してくださったフィリピン人青年がいました。私もその言葉を真に受けて、やはりフィリピンの若い世代は考え方が変わったのかなぁなどとぼんやり考えていました。
 しかし、元兵士の方々の上映が終わった時、柔和な表情だった彼の顔が、若干固くなっているのを感じました。全体での意見交換にうつりましたが、彼はプロジェクトへの評価を述べるだけでした。
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 そして、上映会自体が終了となった後、彼は私に近づいてきて、フィリピン人がどんな風に日本人を見ているかということを初めて語ってくれたのです。
 日本人への遠慮からくるものなのか、フィリピン人の国民性によるものなのか、私はフィリピンの専門家ではないので、はっきりしたことは言えません。でも、これまでの少ない経験の中で、明らかに本音を言って頂けていないと感じる場面に何度も遭遇したように思います。

 別の機会に改めて紹介しようと思っていますが、フィリピンのコレヒドール島へのツアーに参加しましたが、そこの日本人ガイドが日本人におもねるような表現しか使わないことで、逆に居心地の悪さを感じるということもありました。歴史を知らない日本人にとっては、フィリピン人から過去の歴史についてあまり指摘されないということは「大したことはなかったんだ」と変な安堵に包まれ、それ以上深く知ろうとしなくなってしまわないだろうか、と心配にもなります。
 また、フィリピンの方々の中には、「誰に戦争体験を話したらいいか分からなかった」と言及された70代の方もいらっしゃいました。戦時中のことを周囲に話したことはありますか?という私の問いかけの答えでした。フィリピンの若い世代の人にも機会があまりないから、話していないというのです。日本も戦後復興は大変でしたが、戦場となったフィリピンもその日生きることで相当な苦労があったと想像できます。日本でも歴史が語られないことを嘆く声がありますが、フィリピンでも同じような状況があったのではないでしょうか。
 今回の訪問先の一つに、前回下見で数分だけ訪ねたルンバンという地域があります。驚いたことに、私の名前をフルネームで覚えていてくださった80歳の男性がいました。再会を大変喜んでくださいましたが、前回の短い訪問では伝わってこなかったことですが、「日本政府に謝罪と賠償をしてほしい」と明確に訴えてこられました。戦争世代は、戦後世代または、戦時中幼かったという世代の方々に比べて、本音を訴えたい気持ちを持っている人が多くいるかもしれません。
 このような意味においても、フィリピン人の方々の本音をいかに聞かせて頂けるかということ、戦争世代の生の声をいかに残していけるかということは本当に大きな今後のテーマとなりそうです。
| フィリピン訪問レポート | 15:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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